CCTA Map冠動脈CT用語集
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冠動脈プラークと高リスクプラーク

プラークは、その組成、高リスク所見の有無、および患者全体のプラーク負荷によって記述する。定義はSCCT 2026コンセンサスとCAD-RADS 2.0に従う。

要点

  • 石灰化プラークでは、プラークの大部分が造影された内腔のCT値を上回る。非石灰化プラークはそれを下回り、部分石灰化プラークは両方の成分をもつ。基準は各検査の内腔であり、固定したCT値ではない。
  • 修飾子HRP(/HRP)を付記するには、1つのプラークが4つの高リスク所見(低吸収プラーク、陽性リモデリング、斑状石灰化、ナプキンリング徴候)のうち2つ以上を明らかに示す必要がある。
  • 低吸収はCT値が30 HU未満、陽性リモデリングはリモデリング指数が1.1を超えるもの、斑状石灰化は直径が3 mm未満のものと定義する。ナプキンリング徴候には数値の閾値がなく、短軸像での形態で判定する。
  • SISはプラークではなく、プラークのあるセグメントを数える。SIS 1–2はP1、3–4はP2、5–7はP3、8以上はP4に相当する。
  • Agatstonスコアは非造影相で算出する。スコア0でも非石灰化プラークは除外できず、それがある場合はSISでプラーク負荷を決める。
  • プラーク負荷P1–P4は狭窄とは独立している。方法間で結果が異なる場合はより重いほうの評価を採用し、CAD-RADS 0ではPを付与しない。

マップでの例

石灰化プラーク

左前下行枝 (LAD) 近位部の石灰化プラークによる中等度狭窄(CAD-RADS 3/P1)。テンプレートは所見とインプレッションの両方にブルーミングの注記を加える。

このセクションの用語 (12)
  1. 動脈硬化性プラーク
  2. 石灰化プラーク
  3. 部分石灰化プラーク
  4. 非石灰化プラーク
  5. 高リスクプラーク
  6. 低吸収プラーク
  7. 陽性リモデリング
  8. 斑状石灰化
  9. ナプキンリング徴候
  10. プラーク負荷(P1–P4)
  11. セグメント関与スコア
  12. Agatstonスコア
冠動脈CT横断像の石灰化プラーク(模式図)横断像の部分石灰化プラーク(模式図)横断像の非石灰化プラーク(模式図)
  • 造影された内腔
  • 非石灰化プラーク
  • 低吸収コア
  • 石灰化
  • 辺縁のリング
  • 冠動脈周囲脂肪
図 1. CTのグレースケールで示したプラークの種類(短軸像)。石灰化プラークは造影された内腔のCT値を上回り、非石灰化プラークはそれを下回り、部分石灰化プラークは両方の成分をもつ。凡例:造影された内腔、非石灰化プラーク、低吸収コア、石灰化、辺縁のリング、冠動脈周囲脂肪。
低吸収プラーク:CT値 30 HU未満のコア(模式図)陽性リモデリング:リモデリング指数が1.1を超える(模式図)斑状石灰化:3 mm未満の石灰化(模式図)横断像のナプキンリング徴候(模式図)
図 2. 4つの高リスク所見。修飾子HRP(/HRP)には、同一プラーク内に2つ以上の所見が必要である。陽性リモデリングは長軸像で示す。リモデリング指数は病変部の血管外径を近位部と遠位部の参照径の平均で除した値であり、1.1を超えると陽性である。
表 1. 冠動脈プラーク負荷の分類。Agatstonスコアは非造影相を撮像した場合にのみ用いる。方法間で結果が異なる場合、CAD-RADS 2.0はより重いほうの評価を採用するよう定めている。
プラーク負荷CAD-RADS視覚的評価SIS(プラークのあるセグメント数)Agatstonスコア
なしPなし(CAD-RADS 0)プラークなし00
軽度P11–2枝に軽度のプラーク1–21–100
中等度P21–2枝に中等度、または3枝に軽度のプラーク3–4101–300
高度P33枝に中等度、または1枝に高度のプラーク5–7301–999
広範P42–3枝に高度のプラーク≥8≥1000

出典: SCCT 2026(Rajiah et al.)、表3、p. 9(改変、CC BY 4.0;原表はCAD-RADS 2.0、表2に基づく)。P4のAgatstonスコアは、CAD-RADS 2.0では「>1000」、SCCT 2026では「≥1000」と記載されている。

動脈硬化性プラーク Atherosclerotic plaque#

別名: アテローム性プラーク, 粥状硬化性プラーク, 冠動脈プラーク, 粥腫, アテローム (血管内イメージングで一般的な用語。冠動脈CTでは「プラーク」を用いる;SCCT 2024プラーク定量、3節)

冠動脈CTにおける動脈硬化性プラークは、造影された内腔と血管外縁の間にある血管壁の組織で、内腔とも冠動脈周囲脂肪とも区別できるものをいう。視覚的な読影と、SISなどの半定量的なプラーク負荷スコアについては、SCCT 2024のプラーク定量の文書が従来の定義を維持しており、この定義はさらに、面積が1 mm²以上であることと、独立した2つ以上の断面で組織を確認できることを求める。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部・中間部:びまん性の部分石灰化プラーク、最大狭窄はLAD中間部の軽度狭窄(25–49%)。

混同しやすい点: プラークは血管壁の組織であり、狭窄は正常な参照セグメントと比べた内腔径の減少である。プラーク部の血管外縁と比べるのではない。陽性リモデリングを伴うプラークは内腔を狭小化しないことがあり、逆に、動脈間走行を示す異常冠動脈にみられるような、プラークを伴わない狭小化も同様に狭窄度を評価し、Eを付ける。

関連項目: 石灰化プラーク · 部分石灰化プラーク · 非石灰化プラーク · プラーク負荷(P1–P4) · ブルーミングアーチファクト · ビームハードニングアーチファクト · モーションアーチファクト

出典: SCCT 2024(プラーク定量)、4節・表2;SCCT 2026、冠動脈の読影(動脈硬化性プラーク、狭窄、読影の落とし穴)、pp. 2・4・5–7・15–18;CAD-RADS 2.0、3.3.6節・表4注b;Karlo 2012、評価と偽陽性の項 · “presence of tissue structures ≥1 mm² within or adjacent to the coronary artery lumen”

詳細

読影での使い方: 各セグメントを軸位断像、薄いスラブのMIP像、斜位および曲面の多断面再構成(MPR)像で確認する。プラークが疑われれば、2つの断面、すなわち大きさと組成を最もよく示す中心線に直交する血管短軸像と、長軸方向の断面で確かめる。ウィンドウは、造影された内腔と石灰を分け、非石灰化プラークを心筋や冠動脈周囲脂肪と分けられるように調整する。冠動脈周囲脂肪との境界は、一般に血管の外縁を示す。アーチファクトが疑われる場合は別の心位相を確認する。真のプラークはどちらの位相でも見え、全周にわたって周囲の組織と区別できる。

注意点: 1つの断面または1つの心位相でしか見えないものをプラークとすること。逆の誤りもある。非石灰化プラークは、軸位断像では部分容積効果と誤認されたり、CT値が冠動脈周囲脂肪に近いと見落とされたりすることがあり、小さな石灰化プラークは内腔と同じCT値を示すことがある。説明のつかない血管径の変化があればそのセグメントを見直す。単純CTは石灰の確認に役立つ。

他の文献: SCCT 2024のプラーク定量の文書は、冠動脈CTでは通常、厚さ500 µm未満のプラークは検出できないとしている。SCCT 2023の標準用語は、プラークそのものではなく、その3つの種類を定義している。 (SCCT 2024(プラーク定量)、2.3節;SCCT 2023標準用語、表4)

プラークに類似する、またはプラークを隠すアーチファクトと所見、およびその見分け方。
類似所見プラークへの影響見分け方
モーション石灰化または非石灰化プラークと誤認される高吸収・低吸収の筋状影。ぼけにより真のプラークが隠れることもある別に再構成した心位相。1つの位相でしか見えなければアーチファクトを考える。真のプラークは全周にわたって周囲の組織と区別できる
スラブ間の位置ずれ病変に類似する段差。血管の一部が欠けたり重複したりし、プラークは過小評価または過大評価される別の心位相、またはエッジ補正を外す
部分容積効果スラブ境界の偽狭窄と、分岐部や屈曲したセグメントでの狭窄の過大評価。軸位断像では非石灰化プラークが部分容積効果と誤認されることがある直交MPRと曲面MPR、または薄いスラブのMIP。スラブ境界では別の心位相、またはエッジ補正を外す
ブルーミング(石灰・ステント)石灰化プラークが実際より大きく見え、狭窄が過大評価される広いウィンドウ幅、薄いスライス、シャープな再構成関数、または高エネルギーの仮想単色X線画像
ビームハードニング石灰やステントに接する低吸収帯が、非石灰化プラークやステント内の内膜増殖に類似する。真の非石灰化成分を隠すこともある石灰や金属から生じ、別の心位相で改善することがあり、高レベルの逐次近似再構成や高エネルギーの仮想単色X線画像で軽減する
造影不良・造影剤の混合内腔のCT値が低く、非石灰化プラークや狭窄に類似する別の心位相、別のウィンドウ、厚いスライス。真のプラークは壁を肥厚させる
血管炎の壁肥厚動脈硬化性プラークと混同されうる平滑で、全周性または周囲脂肪の濃度上昇と連続し、造影増強を示す壁肥厚は血管炎を示唆する。プラークではないため別に記載し、Eを付ける

出典: SCCT 2026、pp. 13–18、表4(p. 15);SCCT 2024(プラーク定量)、2.2節;Karlo 2012、偽陽性の項;Woodworth 2024、抄録;CAD-RADS 2.0、3.3.6節

CCTA Mapでは

プラークはセグメントの病変として入力する。血管をタップするか血管に沿ってドラッグすると編集パネルが開き、「重症度」(0〜5のボタン、「正常」から「100%」まで)、「プラークの種類」(「石灰化」「部分石灰化」「非石灰化」)、高リスク所見の「フラグ」を選ぶ。ドラッグで描いた病変は軽微狭窄の「部分石灰化」として始まり、種類を選ばずに0より大きい狭窄度を設定すると「部分石灰化」として保存される。「正常」の病変は、種類を選んだ場合に限りプラークとして数えられる。その場合、サマリーには「プラーク:検出あり」と表示され、そのセグメントはSISに加算され、ほかに狭窄度のある病変がなければカテゴリーはCAD-RADS 0から1になる。マップは、どの断面や心位相でプラークを確認したかを記録しない。プラークのない狭小化は種類「非動脈硬化性」で入力する。狭窄度が評価されてEが付き、SISやPではプラークとして数えない。0%のプラークは「有意狭窄を伴わない非石灰化プラーク」のように種類を付けて記載される。

石灰化プラーク Calcified plaque#

別名: 石灰化病変, ハードプラーク (CTでは評価できない力学的性質を示唆する;SCCT 2024プラーク定量、4.1節) 非推奨, calcified plaque (英語)

本用語集が従うSCCT 2026では、容積の大部分が造影された内腔よりも高いCT値を示すプラークを、石灰化プラークとする。基準は血管内腔との相対比較であり、固定したCT値の閾値ではない。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部:高密度の石灰化プラーク、中等度狭窄(50–69%)。ブルーミングアーチファクトにより狭窄度を過大評価している可能性がある。

混同しやすい点: 石灰化プラークがあっても、そのセグメントが評価不能とは限らない。内腔を評価できれば、視認できる最も高い狭窄度をブルーミングの注記を付けて記載する。アーチファクトのために内腔を確信をもって評価できない場合に、そのセグメントを評価不能とする。

関連項目: 動脈硬化性プラーク · 部分石灰化プラーク · ブルーミングアーチファクト · Agatstonスコア

出典: SCCT 2026、動脈硬化性プラークの項、p. 5 · “(largely) calcified plaque: attenuation values of most of the plaque exceed the values of the contrast-enhanced blood”

詳細

読影での使い方: 血管軸に直交する短軸像で、広いウィンドウ幅を用い、可能であればブルーミングを抑えるためにシャープな再構成関数を併用して評価する。高密度石灰化がある場合は、視認できる最も高い狭窄度を記載し、過大評価の可能性を付記する。

注意点: Agatstonスコアの130 HUという閾値は、造影冠動脈CTにおける石灰化プラークの定義ではない。基準は造影された内腔のCT値である。

他の文献: 半自動プラーク定量では、大半のソフトウェアが350 HUを超える組織を高密度石灰として分類する。SCCT 2023の標準用語は、プラーク全体が石灰に相当するCT値を示すものを石灰化プラークと定義している。本用語集は、造影された内腔を基準とし、プラークの大部分がそれを上回ることを求めるSCCT 2026の視覚的基準に従う。 (SCCT 2024(プラーク定量)、4.2節;SCCT 2023標準用語、表4)

CCTA Mapでは

病変の編集パネルで「石灰化」を選ぶと、「⬤ 低吸収」と「◎ ナプキンリング」のボタンが無効になり、すでに選択されていた場合はこの2つの所見も解除される。狭窄が50–99%の場合、テンプレートは所見に「石灰化のブルーミングにより狭窄度を過大評価している可能性がある」との注記を加え、インプレッションにもブルーミングの注記を加える。「N」ボタンはセグメントのプラークを消去せずに保留する。セグメントは評価不能として記載され、Nを解除するとプラークは戻る。「見えるプラークを記載」を選ぶと、レポートは狭窄度を評価せずにそのプラークを記載する。保留されたプラークはSISに数えられない。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

左前下行枝 (LAD):近位部:石灰化プラーク、中等度狭窄(50-69%)、石灰化のブルーミングにより狭窄度を過大評価している可能性がある、同血管の他部位に病変なし。分枝 D1、D2:病変なし。

インプレッション 中等度の閉塞性冠動脈疾患。CAD-RADSカテゴリー 3/P1。

閉塞性病変(≥50%):LAD。

高度石灰化は狭窄度を過大評価しうる(ブルーミングアーチファクト)。治療方針が狭窄度に依存する場合は、CT-FFRまたは機能的検査を考慮する。

CT値のスケール:プラーク分類の基準は造影された内腔
図 3. プラークの組成は、各検査の内腔のCT値を基準に判定する。130 HUの閾値はAgatstonスコアのものであり、Agatstonスコアは非造影相で算出する。

部分石灰化プラーク Partially calcified plaque#

別名: 混合プラーク 非推奨, 混合型プラーク 非推奨, ミックスプラーク (SCCT 2023標準用語、表4;SCCT 2024プラーク定量、4.1節) 非推奨, partially non-calcified plaque (英語、SCCT 2014の用語), partially calcified plaque (英語)

石灰化成分と非石灰化成分をあわせもつプラークである。SCCTは「混合プラーク」ではなくこの用語を用いる。一方の成分が75%以上を占める場合は、石灰化優位または非石灰化優位と付記できる。

記載例

右冠動脈 (RCA) 中間部:石灰化優位の部分石灰化プラーク、軽度狭窄(25–49%)。

関連項目: 石灰化プラーク · 非石灰化プラーク · ビームハードニングアーチファクト · 動脈硬化性プラーク

出典: SCCT 2026、動脈硬化性プラークの項、p. 5 · “partially calcified: with both calcified and non-calcified components (Fig 6). A partially calcified plaque can be specified as predominantly calcified with ≥ 75 % of the plaque component calcified”

詳細

読影での使い方: 短軸像と多断面再構成(MPR)像で評価する。MPRは非石灰化成分と冠動脈周囲脂肪の区別に役立つ。プラークの種類はセグメントごとに記録し、どちらの成分が優位かは所見文中に任意で付記する。

注意点: 石灰化に隣接するビームハードニングが非石灰化成分を覆い隠すと、石灰化プラークと誤認されることがある。広いウィンドウ幅で、複数の断面で確認する。

他の文献: SCCT 2014は「partially non-calcified」と呼び、「predominantly calcified」と「predominantly non-calcified」を割合の閾値なしに別項目として挙げていた。複数の論文が「混合プラーク(mixed plaque)」と呼ぶが、SCCT 2023の標準用語はこの名称を推奨しない用語に含めており、2024年のSCCTプラーク定量文書も使用を避けるよう求めている。 (SCCT 2014、10.6.2節;SCCT 2023標準用語、表4;SCCT 2024(プラーク定量)、4.1節)

CCTA Mapでは

編集パネルでは「部分石灰化」ボタンで入力し、4つの高リスク所見をすべて選択できる。テンプレートでは「部分石灰化プラーク」と記載される。

非石灰化プラーク Non-calcified plaque NCP#

別名: ソフトプラーク 非推奨, 脂質プラーク 非推奨, 脂質に富むプラーク (SCCT 2026、p. 5;SCCT 2024プラーク定量、4.1節) 非推奨, 線維性プラーク 非推奨, 線維脂肪性プラーク (CTでは評価できない組織像を示唆する;SCCT 2024プラーク定量、4.1節) 非推奨, non-calcified plaque (英語)

非石灰化プラークは、造影された内腔よりも低いCT値を示す。SCCTは「ソフト」や「脂質に富む」ではなくこの用語を推奨している。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部:非石灰化プラーク、視認できる内腔狭小化なし。

混同しやすい点: 「視認できる内腔狭小化なし」はCAD-RADS 2.0の0%(「No visible stenosis」)に相当する。「有意狭窄なし」は狭窄度分類の段階ではなく、内腔が狭小化しているかどうかも、その程度も示さない。

関連項目: 低吸収プラーク · 動脈硬化性プラーク · CAD-RADS 0とCAD-RADS 1 · 内腔の造影不良

出典: SCCT 2026、動脈硬化性プラークの項、p. 5 · “non-calcified plaque: attenuation values of the plaque are below the values of the contrast-enhanced blood”

詳細

読影での使い方: 横断像に加えて、直交する多断面再構成(MPR)像と曲面再構成(CPR)像でも検索する。横断像だけでは見落とされたり、部分容積効果と誤認されたりしうるためである。冠動脈周囲脂肪と混同されることもある。説明のつかない血管径の変化があれば、そのセグメントを詳しく確認する。

注意点: 「ソフトプラーク」や「脂質プラーク」と呼ぶのは不正確である。CT値は管電圧と内腔の造影程度に依存し、個々の患者で組織像を予測するものではない。

他の文献: 定量ソフトウェアは非石灰化プラークをCT値の範囲で細分し、線維性(fibrous)、線維脂肪性(fibro-fatty)、壊死性コア(necrotic core)などと呼ぶ。閾値と名称はベンダー間で異なり、SCCT 2024は「線維性」と呼ぶことを推奨していない。 (SCCT 2024(プラーク定量)、4.1節・4.2節、図3)

CCTA Mapでは

編集パネルの「プラークの種類」で「非石灰化」ボタンを選ぶと、テンプレートは該当セグメントに「非石灰化プラーク」と記載する。0%で入力したプラークは「有意狭窄を伴わない非石灰化プラーク」のように種類を付けて記載される。1つのセグメントに複数のプラークがある場合、テンプレートは狭窄度の高い順にすべてを「同一セグメント内に別の…」として記載する。

高リスクプラーク High-risk plaque HRP#

別名: ハイリスクプラーク, 脆弱性プラーク 非推奨, vulnerable plaque (CAD-RADS 2.0でHRPに置き換えられた;SCCT 2023標準用語、表4とSCCT 2024プラーク定量、4.1節で非推奨) 非推奨, 不安定プラーク (vulnerable plaqueの訳語としても使われる病理学的用語;SCCT 2024プラーク定量、4.1節) 非推奨, 修飾子V (CAD-RADS 1.0;CAD-RADS 2.0でHRPに置き換えられた) 非推奨, adverse plaque (SCCT 2023標準用語、表4;SCOT-HEARTでは1つの所見で足りた) 非推奨

CAD-RADS 2.0では、4つの所見(低吸収プラーク、陽性リモデリング、斑状石灰化、ナプキンリング徴候)のうち2つ以上を明らかに示すプラークを、高リスクプラーク(HRP)とする。これを修飾子HRP(/HRP)で表す。

記載例

右冠動脈 (RCA) 中間部:非石灰化プラーク、軽度狭窄(25–49%)、高リスク所見2つ(低吸収、陽性リモデリング)。

混同しやすい点: 単独の高リスク所見は所見欄に記載できるが、/HRPは付けない。修飾子HRPには、同一プラーク内に明らかな所見が2つ以上必要である。

関連項目: 低吸収プラーク · 陽性リモデリング · 斑状石灰化 · ナプキンリング徴候

出典: CAD-RADS 2.0、3.3.4節、図15 · “If a coronary plaque clearly demonstrates two or more high-risk features by CCTA, the modifier “HRP” (high risk plaque) should be added”

詳細

読影での使い方: 各プラークを短軸像で評価し、所見の数を数える。2つ以上あればカテゴリーに/HRPを付記し、所見欄にその所見を列挙する。

注意点: 別々のプラークの所見を合算して2つとしてはならない。修飾子は同一プラーク内に所見がそろうことを要件とする。

他の文献: CAD-RADS 1.0は同じ2項目以上の基準で修飾子「V」(vulnerability)を用いていたが、CAD-RADS 2.0で「HRP」に置き換えられた。SCOT-HEARTでは「adverse plaque」を陽性リモデリングまたは低吸収で定義し、どちらか1つで足りるとしていた。SCCT 2023の標準用語は「vulnerable plaque features」と「adverse plaque features」という名称を推奨しておらず、2024年のSCCTプラーク定量文書も「vulnerable plaque」の使用を避けるよう求めている。 (CAD-RADS 1.0、3.3.4節;CAD-RADS 2.0、3.3節;Williams 2019(SCOT-HEART);SCCT 2023標準用語、表4;SCCT 2024(プラーク定量)、4.1節)

CCTA Mapでは

4つの所見のボタンは各病変の編集パネルの「フラグ」の欄にある。「HRP n/4」のカウンターはそのプラークの所見の数を示し、2つ以上になると「⚠ HRP 2/4」のように⚠が付く。所見はプラークごとに記録される。同一プラークに2つ以上の所見があるとカテゴリーに/HRPが付くが、所見が1つずつのプラークが2つある場合は、同じセグメント内であっても/HRPは付かない。1回のドラッグで2つのセグメントにまたがって描いたプラークは1つのプラークとして扱われ、両方のセグメントに同じ所見が記録される。テンプレートは「高リスクプラーク所見(低吸収プラークおよび陽性リモデリング)」のように所見を列挙し、所見が1つだけのプラークでは「斑状石灰化を単独所見として伴う」のように記載する。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

左前下行枝 (LAD):近位部:非石灰化プラーク、軽度狭窄(25-49%)、高リスクプラーク所見(低吸収プラークおよび陽性リモデリング)、同血管の他部位に病変なし。分枝 D1、D2:病変なし。

右冠動脈 (RCA):中間部:部分石灰化プラーク、軽度狭窄(25-49%)、斑状石灰化を単独所見として伴う、同血管の他部位に病変なし。分枝 AM、PDA、R-PLB:病変なし。

インプレッション 軽度の非閉塞性冠動脈疾患。CAD-RADSカテゴリー 2/P1/HRP。

非閉塞性病変:LADおよびRCA。

修飾子HRPには同一プラーク内に2つの高リスク所見が必要

マップで例を開く CAD-RADS 2/P1/HRP →図を拡大表示

図 4. 修飾子HRP(/HRP)には、同一プラーク内に2つの所見が必要である。所見を1つずつもつ2つのプラークでは修飾子は付かず、各所見は所見欄に記載する。

低吸収プラーク Low-attenuation plaque LAP#

別名: 低CT値プラーク, 低濃度プラーク (本用語集はSCCTのattenuationに合わせて「低吸収」を用いる) 本用語集では使わない, low-attenuation plaque (英語)

CAD-RADS 2.0とSCCT 2026では、内部のCT値が30 HU未満の非石灰化プラークを低吸収プラークとし、高リスク所見の1つとする。測定値は管電圧と内腔の造影程度に依存する。

記載例

左回旋枝 (LCX) 近位部:低吸収を示す非石灰化プラーク、軽度狭窄(25–49%)。

混同しやすい点: 非石灰化プラークがすべて低吸収を示すわけではない。CAD-RADS 2.0では、この所見には非石灰化成分の内部のCT値が30 HU未満であることが必要である。

関連項目: 高リスクプラーク · 非石灰化プラーク · ナプキンリング徴候 · ビームハードニングアーチファクト

出典: CAD-RADS 2.0、図15;SCCT 2026、p. 5 · “Low attenuation plaque, defined as non-calcified plaque with internal attenuation less than 30 HU.”

詳細

読影での使い方: 短軸像で、内腔、石灰化、冠動脈周囲脂肪から離れたプラークの最も低吸収な部位に小さな関心領域(ROI)を置いて測定する。撮影時の管電圧を考慮する。

注意点: 高密度石灰化の近傍や冠動脈周囲脂肪との境界で測定すると、ビームハードニングと部分容積効果により偽低値となる。

他の文献: 体積定量では、最もCT値の低い区分の上限はベンダーにより30–75 HUと幅があり、SCCT 2024は絶対的な閾値を定めていない。本用語集はCAD-RADS 2.0に従う。 (SCCT 2024(プラーク定量)、4.2節)

CCTA Mapでは

編集パネルの「⬤ 低吸収」ボタンで入力する。このボタンはプラークの種類が「石灰化」のときは無効になる。テンプレートでは「低吸収プラーク」と記載される。

陽性リモデリング Positive remodeling PR#

別名: ポジティブリモデリング, outward remodeling (英語、SCCT 2024プラーク定量の表現), 代償性拡大 (Glagov 1987の用語), リモデリング指数 (RIと略記されるが、マップの中間枝RIとは別), positive remodeling (英語)

CAD-RADS 2.0とSCCT 2026では、プラーク部の血管外径が参照径より10%を超えて大きい場合(リモデリング指数1.1超)を陽性リモデリングとする。高リスク所見の1つである。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部:陽性リモデリングを伴う非石灰化プラーク、視認できる内腔狭小化なし。

混同しやすい点: 内腔狭小化を伴わない陽性リモデリングはCAD-RADS 0ではない。CAD-RADS 2.0は、陽性リモデリングを示し狭窄を伴わないプラークをカテゴリー1に含めている。

関連項目: 高リスクプラーク · 参照血管径 · CAD-RADS 0とCAD-RADS 1

出典: CAD-RADS 2.0、図15;SCCT 2026、p. 5 · “Positive remodeling, defined as the ratio of outer vessel diameter at the site of plaque divided by the average outer diameter of the proximal and distal vessel greater than 1.1”

詳細

読影での使い方: 短軸像で、プラーク部と、近位および遠位の正常な参照部位において、外壁から外壁までの血管外径を測定する。リモデリング指数は、病変部の径を2つの参照径の平均で除した値である。

注意点: 指数の算出に血管外縁ではなく内腔を用いるのは誤りである。同様に、狭窄度はリモデリングした壁ではなく正常な参照部位を基準に評価する。

他の文献: SCCT 2024のプラーク定量文書は、指数を径ではなく血管面積で算出し、1.10以上を陽性、0.90未満を陰性とする。本用語集はCAD-RADS 2.0と同様に径を用いる。 (SCCT 2024(プラーク定量)、表2)

CCTA Mapでは

編集パネルの「⬈ 陽性リモデリング」ボタンで入力する。このボタンはプラークの種類が「石灰化」でも選択できる。

斑状石灰化 Spotty calcification SC#

別名: 点状石灰化, スポッティ石灰化 (英語spotty calcificationのカタカナ表記) 本用語集では使わない, spotty calcification (英語)

SCCT 2026では、プラーク内にある直径3 mm未満の石灰沈着を斑状石灰化とする。高リスク所見の1つである。

記載例

右冠動脈 (RCA) 中間部:斑状石灰化を伴う部分石灰化プラーク、軽度狭窄(25–49%)。

関連項目: 高リスクプラーク · 部分石灰化プラーク · ブルーミングアーチファクト

出典: SCCT 2026、動脈硬化性プラークの項、p. 5 · “Features of high-risk plaque (HRP) include positive remodeling (outer vessel diameter >10% larger than the reference diameter), spotty calcification (diameter <3 mm)”

詳細

読影での使い方: 短軸像と曲面再構成(CPR)像で、ブルーミングを抑えるため広いウィンドウ幅を用いて沈着の最大径を測定する。3 mm以上であれば基準を満たさない。

注意点: 小さな孤立性の石灰化プラークは斑状石灰化ではない。この所見は、プラーク内にある3 mm未満の石灰化巣を指す。また、CTの分解能以下の組織学的所見である微小石灰化(microcalcification)とも区別する。

他の文献: 血管径を基準に定義する著者もおり、長さが血管径の1.5倍未満、幅が血管径の2/3未満とする。本用語集はSCCT 2026の3 mmの基準に従う。 (van Rosendael 2024、表1;Yang 2021、方法)

CCTA Mapでは

編集パネルの「⦿ 斑状石灰化」ボタンで入力し、テンプレートでも「斑状石灰化」と記載される。

ナプキンリング徴候 Napkin-ring sign NRS#

別名: ナプキンリングサイン, ナプキンリング (マップのボタン表記), リング状造影 (一部の研究での呼称), napkin-ring sign (英語)

ナプキンリング徴候は、非石灰化プラークの短軸像でみられる高リスク所見である。内腔に接しているようにみえる低吸収の中心部を、それより高吸収のリング状の組織が取り囲む。

記載例

左前下行枝 (LAD) 近位部:ナプキンリング徴候を伴う非石灰化プラーク、中等度狭窄(50–69%)。

関連項目: 高リスクプラーク · 低吸収プラーク · 部分石灰化プラーク

出典: SCCT 2026、動脈硬化性プラークの項、p. 5 · “napkin-ring sign (central low attenuation apparently in contact with the lumen surrounded by ring-like higher-attenuation plaque tissue)”

詳細

読影での使い方: 血管中心線に直交する短軸像で、プラーク内のCT値の差が明瞭に分かれるウィンドウ設定を用いて検索する。リングは中心部より高吸収の非石灰化組織であり、石灰ではない。

注意点: 部分石灰化プラークの石灰化した辺縁や、プラークと内腔の境界に生じる部分容積アーチファクトが本徴候に類似することがある。

他の文献: 辺縁のリングが130 HUを超えないことを明記する総説や、ring-like enhancement(リング状造影)と呼ぶ研究もある。2024年のSCCTプラーク定量コンセンサスは、本徴候の判定にCT値の測定は不要としている。 (van Rosendael 2024、表1;Pozo 2016;SCCT 2024(プラーク定量)、4.1節)

CCTA Mapでは

編集パネルの「◎ ナプキンリング」ボタンで入力する。このボタンはプラークの種類が「石灰化」のときは無効になる。テンプレートでは「ナプキンリング徴候」と記載される。

プラーク負荷(P1–P4) Plaque burden (P1–P4) P1–P4#

別名: プラーク量, 総プラーク量, plaque burden (英語), 修飾子P (CAD-RADS 2.0はPをカテゴリーと呼び、修飾子とは区別している) 本用語集では使わない

本用語集が従うCAD-RADS 2.0では、狭窄度とは独立した、患者の冠動脈プラークの総量をプラーク負荷とする。SIS、Agatstonスコア、または視覚的評価に基づき、P1(軽度)、P2(中等度)、P3(高度)、P4(広範)で表す。

記載例

高度のプラーク負荷(P3;SIS 5)を伴う冠動脈硬化症、最大狭窄は軽度(25–49%)。CAD-RADSカテゴリー 2/P3。

この例の前提: 径1.5 mm以上のすべてのセグメントが評価可能であり、ほかのどの方法による評価もP3より重くならず(重くなる場合は最も重い評価を採用する)、付けるべき修飾子もない。評価不能なセグメントがある場合はCAD-RADS N/P3とし、プラーク負荷全体を信頼性をもって評価できなければPを付けずにCAD-RADS Nとする。

混同しやすい点: プラーク負荷(P1–P4)は冠動脈全体のプラークの量を要約し、狭窄のカテゴリー(0–5)は最大狭窄で決まる。P3でも最大狭窄が軽度であればCAD-RADS 2である。

関連項目: セグメント関与スコア · Agatstonスコア · CAD-RADSカテゴリー(患者単位) · CAD-RADS(安定胸痛)

出典: SCCT 2026、本文および表3、pp. 7・9;CAD-RADS 2.0、3.2.1節 · “CAD-RADS 2.0 introduces the P1 to P4 descriptors which are used to denote increasing categories of plaque burden (P1=mild, P2=moderate, P3=severe and P4=extensive)”

詳細

読影での使い方: SCCT 2026は、プラーク負荷を視覚的に推定し、その推定をAgatstonスコア(非造影相を撮像した場合)またはSISと組み合わせることを推奨している。複数の方法を用いた場合、CAD-RADS 2.0は最も重い評価を採用するよう定めている。CAD-RADS 0ではPを付与せず、N(評価不能)ではプラーク全体の評価が信頼できる場合に限りPを付与する。

注意点: 非石灰化プラークが多い場合、Agatstonスコアだけでは負荷を過小評価するため、それのみでPを決めてはならない。その場合はSISまたは視覚的評価でPを決める。

他の文献: CTのプラーク定量では、plaque burden(プラークバーデン)は血管面積または体積に占めるプラークの割合も意味する。本用語集では、CAD-RADS 2.0と同様に患者全体のプラーク量の意味で用いる。 (SCCT 2024(プラーク定量)、表2)

CCTA Mapでは

「⚙ 修飾子 P·I ▾」を開くと、「プラーク負荷 (P)」の項で、Pを次の3つの方法のいずれかで決める。「自動(マップ)」はマップのSISを用い、「カルシウム(Agatston)」は入力したスコアを用い、「Pを選択」はPを手動で設定するか、「—」を選んでPを付けない。テンプレートには、例えば「プラーク負荷:軽度(P1;SIS 2)。」と記載される。セグメントに「N」を付けた場合や「画質」で「診断不能」を選んだ場合のようにNが付くときも、マップは選んだモードのPをそのまま出力する。プラーク全体の評価が信頼できない場合は、「Pを選択」で「—」を選んでPを外す。各モードは1つの情報源だけを用いる。Agatston 0でマップにプラークがある場合、PはSISから求められ、Pのパネルに「SISによるP(Agatston 0は非石灰化プラークを反映しない)」と注記され、レポートには「(SISによるP)」とだけ記載される。Agatstonが0より大きい場合は、SISのほうが高い段階でもPはカルシウムスコアから求められる。これは作成者の判断待ちである。狭窄のあるグラフトはSISに加算され、レポートには「バイパスグラフトを含む」と記載される。Nで保留されたプラークはSISに数えられない。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

プラーク負荷:高度(P3;SIS 5)。

左主幹部 (LM):石灰化プラーク、軽微狭窄(1-24%)。

左前下行枝 (LAD):近位部:石灰化プラーク、軽微狭窄(1-24%)、中間部:部分石灰化プラーク、軽度狭窄(25-49%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 D1、D2:病変なし。

左回旋枝 (LCX):近位部:石灰化プラーク、軽微狭窄(1-24%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 OM1、OM2、L-PLB:病変なし。

右冠動脈 (RCA):近位部:石灰化プラーク、軽微狭窄(1-24%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 AM、PDA、R-PLB:病変なし。

インプレッション 軽度の非閉塞性冠動脈疾患。CAD-RADSカテゴリー 2/P3。

非閉塞性病変:LM、LAD、LCXおよびRCA。

セグメント関与スコア Segment involvement score SIS#

別名: 区域関与スコア, 病変セグメント数, segment involvement score (英語)

SISは、組成や狭窄度にかかわらずプラークのある冠動脈セグメントを数えるスコアで、プラークのある各セグメントを1点とする。CAD-RADS 2.0はセグメントを列挙せずに16セグメントで算出し、最大は16点である。SCCT 2026は18セグメントのモデルを用いながら、この最大値を維持している。視覚的なプラーク負荷の推定よりも再現性が高い。

関連項目: プラーク負荷(P1–P4) · 病変・セグメント・血管 · セグメント境界・分岐部の病変の帰属 · 冠動脈18セグメントモデル(SCCT)

出典: SCCT 2026、プラーク量の項、p. 6 · “A score of 1 is given for each segment with plaque, with the highest possible score of 16.”

詳細

読影での使い方: 冠動脈を1セグメントずつ確認し、微小なものも含めてプラークのあるセグメントをすべて数える。プラークが2つのセグメントの境界(分岐部を含む)にある場合は、近位側のセグメントに帰属させる。均衡型で中間枝がある例:左主幹部から始まりLAD近位部に続くプラークは2点、LAD中間部の離れた2つのプラークは1点、中間枝、R-PDA、L-PDAのプラークは各1点で計3点となる。SISは6で、P3にあたる。さらに鋭縁枝にもプラークがあれば、SCCT 2026の表1は鋭縁枝に番号を付けていないが、マップはこれを数えてSISは7となり、これもP3である。鋭縁枝を数えなければ1点少なくなり、2つの段階の境界、例えば5セグメントから4セグメントでは、その1点でPが変わる。

注意点: セグメントではなくプラークを数えるのは誤りである。左前下行枝の近位部から中間部に及ぶ長いプラークは2点、1つのセグメント内の3つのプラークは1点となる。

他の文献: 4セグメントを超えてプラークがある場合を「extensive」と呼ぶ研究もある。本用語集はCAD-RADS 2.0に従い、5–7セグメントはP3(高度)、8セグメント以上のみをP4(広範)とする。 (Bittencourt 2014;SCCT 2026、表3)

マップによるSISの数え方。マップに表示されているセグメントのうちプラークのあるものは、プラークが1つでも複数でも、狭窄度にかかわらず1点となる。「N」を付けたセグメントは数えない。最後の列は、ガイドラインが定めることとマップ独自の取り決めを区別する。
マップのセグメントSCCT 2026の番号マップで1点となる条件規則の出典
左主幹部 (LM)5プラークがある場合。「冠動脈の起始」で左主幹部のない解剖を選ぶとマップから外れ、数えないSCCT 2026
左前下行枝 (LAD) 近位部・中間部・遠位部6、7、8プラークがある場合SCCT 2026
対角枝 (D1)・対角枝 (D2)9、10プラークがある場合SCCT 2026
中間枝 (RI)17プラークがあり、中間枝が表示されている場合。「中間枝なし」のとき、または左主幹部がないとき、プラークは保持されるが数えないSCCT 2026
左回旋枝 (LCX) 近位部・遠位部11、13プラークがある場合SCCT 2026
鈍縁枝 (OM1)・鈍縁枝 (OM2)12、14プラークがある場合SCCT 2026
右冠動脈 (RCA) 近位部・中間部・遠位部1、2、3プラークがある場合SCCT 2026
鋭縁枝 (AM)番号なしプラークがある場合(優位性を問わない)マップの取り決め:SCCT 2026は本文で記載するが、番号を付けず、数えるかどうかも定めていない
後下行枝 (PDA)・後側壁枝 (PL)4、16プラークがあり、優位性が「右」または「均衡型」の場合R-PDAはSCCT 2026の優位性の定義に従う。R-PLがこれらの優位性でのみ存在するのはマップの取り決め
後下行枝 (L-PDA)・後側壁枝 (L-PLB)15、18プラークがある場合(L-PDAは優位性が「左」または「均衡型」の場合のみ)L-PDAはSCCT 2026の優位性の定義に従う。L-PLBは表1と同様に3つの優位性すべてでマップに表示される
合計最大16プラークのあるセグメントを合計し、16を上限とする。中間枝があれば、マップのセグメントは右優位または左優位で17、均衡型で19となる。8セグメント以上ですでにP4のため、上限でPが変わることはない最大値はSCCT 2026とCAD-RADS 2.0による。17または19セグメントにこれを上限として当てはめるのはマップの取り決め

出典: SCCT 2026、表1、p. 7、本文、pp. 4–5・6;CAD-RADS 2.0、3.2.1節。3列目は2026-10-09に確認したマップの動作。

CCTA Mapでは

「⚙ 修飾子 P·I ▾」の「プラーク負荷 (P)」で、「自動(マップ)」モードはマップに表示されているセグメントのうちプラークのあるものを数え、合計をP1–P4に換算する。パネルには例えば「SIS 3 セグメント → P2」と表示され、テンプレートには「プラーク負荷:中等度(P2;SIS 3)。」と記載される。1つのセグメント内の複数のプラークは1点とし、1回のドラッグで2つのセグメントにまたがって描いたプラークは両方で数える。どのセグメントを数え、そのうちどの規則がマップ独自の取り決めかは「詳細」の表に示す。再狭窄のないステントだけで他のプラークがないセグメントは数えない。SCCT 2026もCAD-RADS 2.0も、数えるべきかどうかを定めていない。狭窄のあるグラフトもそれぞれ加算され、レポートには「バイパスグラフトを含む」と記載される。Nで保留されたプラークは数えられない。

マップのテンプレート出力(原文のまま)

プラーク負荷:中等度(P2;SIS 3)。

左前下行枝 (LAD):近位部:非石灰化プラーク、軽度狭窄(25-49%)、中間部:非石灰化プラーク、軽度狭窄(25-49%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 D1、D2:病変なし。

右冠動脈 (RCA):中間部:石灰化プラーク、軽微狭窄(1-24%)、同血管の他部位に病変なし。分枝 AM、PDA、R-PLB:病変なし。

インプレッション 軽度の非閉塞性冠動脈疾患。CAD-RADSカテゴリー 2/P2。

非閉塞性病変:LADおよびRCA。

SCCTのセグメント番号を示した冠動脈樹AoPT 第1中隔枝 5 6 7 8 9 10 17 11 12 13 14 1 2 3 AM 4 16
SIS 0プラークなし
図 5. SISカウンター。プラークのある各セグメントを、組成や狭窄度を問わずタップする。カウンターはセグメントごとに1点を加算し、対応するプラーク負荷のカテゴリーを表示する。同じセグメントをもう一度タップすると解除される。

Agatstonスコア Agatston score CAC(CACS)#

別名: アガストンスコア, 冠動脈石灰化スコア 非推奨, 石灰化スコア 非推奨, カルシウムスコア 非推奨, CACスコア 非推奨, CACS (SCCT 2023標準用語、表4は「Agatston score」を推奨;CAD-RADS 2.0とSCCT 2026はなお「calcium score」と書く) 非推奨, CAC-DRS (SCCTの2018年の報告体系。A0–A3のカテゴリーと石灰化のある動脈数)

各冠動脈病変について、130 HUの閾値を超える石灰の面積に、その最大CT値に応じた1–4の係数を乗じる。スコアはこれらの積の総和である。

記載例

非造影相でのAgatstonスコア 0。

混同しやすい点: Agatstonスコア 0は冠動脈石灰が検出されなかったことを示し、動脈硬化がないことを意味しない。CAD-RADS 0とするには、冠動脈CTで石灰化・非石灰化を問わずプラークも狭窄も認めないことが必要である。

関連項目: プラーク負荷(P1–P4) · 石灰化プラーク · CAD-RADS 0とCAD-RADS 1

出典: Neves PO, et al. Radiol Bras 2017(総説)、「Agatston method」の項 · “The Agatston method uses the weighted sum of lesions with a density above 130 HU, multiplying the area of calcium by a factor related to maximum plaque attenuation”

詳細

読影での使い方: 造影前に撮像する心電図同期の非造影CTで、120 kVp、スライス厚3 mmの標準プロトコルにより算出する。撮像した場合は合計値を記載し、プラーク負荷の判定に用いることができる。

注意点: Agatstonスコアは石灰化プラークしか測定しない。CAD-RADS 2.0は、少なくともプラーク全体の定性的評価と組み合わせることを求めている。非石灰化プラークがなければPは変わらず、あればPが上がることがある。スコアが0でもプラークが見える場合は、SISまたは視覚的評価でPを付与する。

他の文献: SCCTのCAC-DRS(2018)はスコアをA0(0)、A1(1–99)、A2(100–299)、A3(300以上)に分類し、石灰化のある動脈数を付記する(例:A2/N3)。そのカットオフはP1–P4とわずかに異なる。SCCT 2023の標準用語は「calcium score」や「CAC score」ではなく「Agatston score」という名称を推奨し、石灰の体積と質量は別に定義している。 (CAC-DRS(Hecht 2018);Obisesan 2021;SCCT 2026、表3;SCCT 2023標準用語、表4)

CCTA Mapでは

「カルシウム(Agatston)」モードで値を入力すると、マップはP1–P4に換算する。パネルには例えば「Agatston 260 → P2」と表示され、テンプレートには「プラーク負荷:中等度(P2;Agatstonスコア 260)。」と記載される。入力欄はピリオドとコンマのどちらも受け付ける。区切り記号の後がちょうど3桁の場合は桁区切りとして読み、「1,250」も「1.250」も1250(P4)となる。それ以外の場合は小数点として読み、四捨五入した整数を用いる。「87.3」も「87,3」も87(P1)となる。マップにプラークが1つも描かれていない場合、0より大きい値ではそのPを付けたCAD-RADS 1となり、例えばAgatston 120では「CAD-RADS 1/P2」となる。このとき所見のない血管は「動脈硬化性病変なし」ではなく「狭窄なし」と記載される。Agatston 0でマップにプラークがある場合、PはSISから求められ、Pのパネルに「SISによるP(Agatston 0は非石灰化プラークを反映しない)」と注記され、レポートには「(SISによるP)」とだけ記載される。0より大きい値では、マップのSISのほうが高い段階でも、このモードは入力したスコアだけを用いる。CAD-RADS 2.0の記述は両方向に読めるため作成者の判断待ちであり、マップに警告は出ない。

Agatstonスコア:各病変の面積に最大CT値で決まる係数を掛ける
図 6. Agatstonスコアは、各病変の面積にその最大CT値に応じた係数を乗じ、全スライスの全病変について合計したものである。

確認問題

要点を確認するための短い問題である。選択肢を選ぶと解答が表示される。

1右冠動脈 (RCA) の近位部・中間部・遠位部にわたって連続するプラークがある。ほかに左前下行枝 (LAD) 近位部と左回旋枝 (LCX) 近位部に1つずつプラークがあり、それ以外にプラークはない。SISとプラーク負荷の組み合わせはどれか。

2左前下行枝 (LAD) 近位部に、陽性リモデリングのみを示すプラークがある。左前下行枝中間部には、これとは別の非石灰化プラークがあり、内部のCT値は20 HUで、ほかの所見はない。CAD-RADSカテゴリーにはどう反映されるか。

3Agatstonスコアは0である。冠動脈CTでは左前下行枝 (LAD) 近位部・中間部、左回旋枝 (LCX) 近位部、右冠動脈 (RCA) 近位部に非石灰化プラークがあり、50%以上の狭窄はなく、ほかにプラークはない。プラーク負荷はどれか。

4左前下行枝 (LAD) 近位部で、プラーク部の血管外径は4.0 mm、内腔径は2.6 mmである。参照部の血管外径は、正常な近位部で3.9 mm、遠位部で3.1 mmである。リモデリング指数はどれか。

5右冠動脈 (RCA) 近位部のプラークの短軸像で、内腔に接する大きな低吸収の中心部を、薄く連続した高密度石灰化のリングが取り囲んでいる。どのように記載するか。

6非造影相で、冠動脈石灰は左前下行枝 (LAD) 近位部の1か所のみで、1スライスにだけ描出されている。面積は5 mm²、最大CT値は320 HUである。冠動脈CTでほかにプラークはない。Agatstonスコアとプラーク負荷の組み合わせはどれか。

次のステップ症例のレポート全体をマップで作成する →冠動脈樹に病変を記入すると、推奨カテゴリーと編集可能なレポートのテンプレートが得られる。

参考文献

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「他の文献」で引用した文献

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本用語集は、SCCT 2026コンセンサスの定義、表および図を日本語に翻訳し、改変したものである。出典:Rajiah PS, et al. Interpretation and reporting of coronary computed tomographic angiography (2026 update): an expert consensus document of the Society of Cardiovascular Computed Tomography (SCCT). J Cardiovasc Comput Tomogr. 2026. doi:10.1016/j.jcct.2026.08.014(CC BY 4.0ライセンスで公開)。変更点は、平易な表現への書き換えと表の再構成である。本用語集の図はマップの動的な模式図であり、ガイドラインの図をそのまま再現したものではない。本用語集はSCCTの審査・承認を受けたものではない。 CC BY 4.0